庭園への想い 

2015年の秋に弊社事務所へモデル庭園を造りました。
この庭園へは神奈川県や東京都によく生える雑木および山野草をふんだんに植栽しています。
地域の雑木や山野草の中での生活で感じたことは、植物が健全に生育し害虫の発生が少ないことです。なんだか植物同士がつながって助け合っているかのように感じます。地域の鳥やチョウが訪れてくること、そして土壌中の菌類の働きも助け合いの相乗効果になっているのかもしれません。
これは外国の樹種や園芸品種ではなく地域の植物だからこそ、お互いに共生しているのだと思います。
 
庭園には雑草がよく生えます。雑草だと嫌って除草をすればキリがありませんが、よく観察しているとキツネノマゴ、イヌタデ、ホタルブクロなどきれいな花を咲かせる種類があることに気が付きます。そして、去年はカヤツリグサやナガエコミカンソウがよく生えていたが今年は生えてこないなど、草は小さな環境の変化に反応して移り変わっているようです。
草丈が高くなり見栄えを乱す草に関しては除草して、植栽した雑木や山野草と共生している草は残すなど、選択的除草をすることは庭園を育てる楽しさがグッと増し、管理の手間も楽になります。
 
造って最もよかったと思ったことは、広さ2㎡ほどの小さな池です。
池はたまにアオミドロや枯葉をすくう程度のほぼノーメンテナンスで、メダカなどの小魚は入れず循環ポンプもない状態ですが、池の水は澄んでおり異臭などは全くしていません。タニシやアメンボが生息しており、トンボはこの池で卵から成虫になりました。鳥は毎日のように水を飲みに訪れています。
 
地域の植物や動物と共に暮らす生活は、自然回帰した感覚になります。
このような日常は、ストレス社会と言われる現代をありのままの自分で生きてゆく、大切な感性を思い出させてくれると感じています。
  

樹木剪定の研究

植物についての研究は、林業(木材の生産)や農業(食物の生産)の分野では社会にとって直接的な利益をもたらすため数多く行われていますが、街路樹や庭木の「剪定」については比較的少ないようです。
その理由は、樹木の枝をどんなに大きく切り取っても問題なく樹木の枝葉は再生しているように見え、たくましく生育しているからかもしれません。
 
私は樹木剪定の研究をしています。
研究の過程で海外の論文を調べていたところ、アメリカのEdward F.Gilman博士が執筆した「An Illustrated Guide to Pruning」という本に出会いました。
この本に書かれていることは私が考えていたことにとても近い内容で、英文ですが熱心に読むことができるほどの素晴らしさです。
エドワード・ギルマン博士は樹木剪定の研究を1990年頃から多く発表しています。
街なかの樹木剪定で主枝の頂芽を残す大切さは海外でも説いていたことを知り、大きな喜びを抱きました。
アメリカでこのような研究が進んでいることは、剪定工費を抑えるために、そして住みよい暮らしを保つために『有益な緑』の価値が認められつつあるからではないかと想像しています。
 
緑と人間社会が共生していくには、樹木にとっても私たちにとっても無理のない剪定管理が理想です。
この理想を実現するためには、時代にあった考え方を感じ取り、今までの価値観を見直していくことだと思います。 
 

1976年7月9日生まれ。東京電機大学 理工学部卒業。日本技術士会会員 
島田 英泰