健全に育てる剪定方法
特定の枝を選択して、その枝の優性さを保持します。
その上で、枝ぶりに欠陥のある所を改善していくと、
台風でも枝折れせずに美しい自然樹形が持続して
剪定の必要性は少なくなっていきます。
その結果、生み出される利点は、
木もれ日の入る美しい自然樹形が永く楽しめ、
樹体内に陽が入るので、
花は良く咲き、枯枝の発生はとても少なくなります。
樹木への剪定による負担が小さくなるので、
樹木の寿命は長くなり、
大切な記念樹や価値の高い老木を
健やかに末永く育てることができます。
風通しのよい樹形になり、
程よい見通しのよさと目隠しの効果が生まれます。
1m以上も伸びる徒長枝は見当たらず、
枝葉の伸長は緩やかです。
そのため、剪定後1年間はお隣りへ越境する枝葉が
とても少なくなります。
樹木の特長である「温度湿度調整機能」は
住み心地のよさが実感できるほど効果があるようです。
また「防音機能」や「防塵機能」も高まるでしょう。
最も心配なことである、
台風での倒木や大枝の折損事故は少なくなり、
安全な緑地空間を保てます。
これらの利点から、
身近に自然を感じながら、
私たちの生活は心地よくなります。
個人邸の庭園では敷地スペースに制限があり、また近隣との関係性もございますので、住宅地でのバランスが保たれるように、縮小させる方が望ましい樹木、主枝の優勢性を保つ方が望ましい樹木を提案させていただきます。
よく見る剪定手法では
樹木は枝葉を多く損失すると(切り取られると)、
樹木の枝葉を取り戻そうとする反応が大きくなり、
剪定後には「徒長枝」のように枝が長く伸びることや
枝のあらゆる所から「枝葉の発芽」が目立つようになります。
手間をかけて樹木を小さく剪定しても、枝葉が通路を妨げたり、
お隣りへ伸びて迷惑をかけたり、乱れた樹形になったり、
という結果につながってしまうのです。
枝葉を大きく伸ばさなくなると、樹木が弱っている可能性があり、
病虫害の発生や倒木の危険性が高まります。
私たちの剪定手法では
樹木毎の特性や役割を考えて枝を切り取っているため、
剪定した1年後の樹形はとても良好です。
そして、病虫害の発生は比較的少ない結果となっています。
下の画像は、ハナミズキ、ヤエヒガンザクラ、レッドロビン生垣の
剪定例です。
不要枝の発生が少なく、生垣では道路への徒長枝がほぼないことが
よくわかります。
この剪定手法では、
生活空間へ支障となるほど大きく伸びた枝葉を切り返し剪定すること、
薄暗い鬱蒼とした空間を改善するために透かし剪定をすること、
樹木にとって多くの機能が備わっている主枝の先端を保持して
樹木の生育を保護すること、などを行っています。
その結果、庭木は写真のように美しい自然樹形を保てました。
この理由は以下のことが考えられます。
1.剪定は必要な所のみにしたため、剪定強度が低くなったこと
2.樹木にとって大切な機能が備わっている「主枝の枝先」や「若葉」を
適度に残したこと
3.樹液の流動を確保するために、枝は分岐点で切り取ったこと
※ 以前に大きさを縮小させる剪定や刈込剪定が行われた樹木の場合は、
写真のような結果がでるまでに数年間の剪定が必要になることがあります。
上記の写真を見ると、剪定を行う必要はないと思われるかもしれません。
しかし、剪定を行わないと
樹木の枝葉が住宅や通路に支障を及ぼし、
近隣への越境枝が目立つようになります。
そして、樹木が成長していくに従って枝ぶりには欠陥が生じ、
太い枝が台風などの強風で折れ、大きな事故になることがあります。
樹木の状態を定期的に確認し、必要な時は剪定を行うようにしてください。
庭木を程よい大きさで維持したい方は
庭木が植栽された空間に相応しくないほど大きく成長した際は、頂芽をなるべく残し、枝の分岐点で切りながら、主幹(主枝)と従幹(従枝)を切り替えるような「大きさを縮小させる剪定」を計画的に行っています。
このように剪定することで、次年の剪定まで比較的美しい樹形を保つことができます。
あまりにも大きくなり、毎年の手入れが負担になっている場合は、敷地面積やその他の条件に合った樹種を選んで植え替えること、もしくは伐採することで将来的な支出を抑えることがよろしいかと思います。
アメリカで研究されている剪定方法
アメリカでは樹木剪定についての研究成果が多くあり、
その優れた研究者の一人であるEdward F.Gilman博士は、
書籍「An Illustrated Guide to pruning」で以下のことを言っています。
○ 剪定では幹の優勢さを保ち骨格となる枝を従属させること。
この剪定方法は、大枝の折損事故を未然に防ぐことができ、
その上、樹木の健全性の保護、生活空間の確保、
美しい自然樹形の持続などの効果があり、
剪定工費の安定化または低減に実用的である。
◆ 樹形を丸く刈り込んだり樹高を過度に切り下げたりする剪定(ぶつ切り)は、
急速に新しい成長を誘発し、生活空間に支障を及ぼすことがある。
さらに樹勢や病害虫への抵抗力は弱まるため、
今では実践すべきではないと考えられている。
毎年大きさを制御する剪定(上記に示した「よく見る剪定手法」)は、
樹種によっては効果的であるが、
剪定作業の必要頻度とそれに伴う費用を考えると実用的ではない。
この書籍はアマゾンサイトで販売されています。
https://www.amazon.co.jp/Illustrated-Guide-Pruning-Edward-・・・
弊社では、アメリカで研究されている"Structural Pruning"を参考にして、庭木の大枝が折れないように、倒木しないように、枝ぶりの欠陥を改善する剪定を行っています。
枝ぶりの欠陥とは、入り皮、幹から生じる車枝、幹と枝の直径比が50%以上の叉、などのことです。