デザインされた植栽は、美しさ、癒し効果が永く保たれます

植栽のデザインでは、植物の配置とともに私たちは剪定管理の事も考えています。なぜなら、せっかく美しい植物を植えても、無理な剪定管理が必要だと、5年後あるいは10年後には美しさが損なわれてしまうからです。その上、無理な剪定管理は、予算も多く必要になります。
植物が自然のままに成長していく姿は美しく、剪定管理で少しだけ手を添えれば、人と共生しながら柔らかい樹形を育むことができます。

 
庭園デザインは「アトリエたね」と共同で行っています。
デザイン、施工例などは「アトリエたね」のホームページに詳しく記載しております。

アトリエたね設計

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◆ 主に在来種から選りすぐりの樹種を提案

樹種の選定では、主に地域に自生する在来種の中から、自然樹形が美しいもの、紅葉がきれいなもの、病害虫の発生が少ないもの、ゆっくりと成長するもの、大きくなり過ぎないものを選んで提案しています。
自然樹形が美しい樹種は、枝ぶりや横への拡がりを少しだけ剪定して修正すれば、樹形の柔らかさが保たれて、住宅や庭園に馴染むように成長していきます。
 
 
自然度が低い住宅地などでは、土質を選ばず丈夫に生育する樹種がよく選ばれていますが、このような樹種は剪定してもすぐに大きくなってしまい、美しさを損ねたり、生活に支障を及ぼしてしまいます。そのため、枝葉を多く切り取る必要性が生じ、剪定管理費が高くなるばかりでなく、枝ぶりが次第に堅くなっていきます。
このような理由から、私たちは大きくなり過ぎない樹種を選ぶようにしています。
 
 
樹種に多様性をもたせるために、将来巨木となるカシ類やコナラなどを提案することがありますが、このような樹種は株立樹形に仕立てることができるので、剪定管理では株を更新する方法を使用しています。
この方法では、大きさを調整して近隣へ配慮するとともに、柔らかい枝ぶりを保ち、剪定の手間を小さくすることができます。

◆ 多様性のある植栽デザイン

植栽をデザインする際は、多様な植物で構成されるように提案しています。多様性のある緑地(庭園)は、様々な動植物が助け合うように共生することになると考えているからです。このような緑地は、有益な生物が訪れ、土壌環境の改善、害虫の捕食など、庭園や私たちにとって有益な効果をもたらします。
例えば、多様な植物の存在は日々の暮らしに柔らかい刺激をもたらし、心の安らぎを育むことが知られています。
 

◆ 選りすぐりの樹種を美しく育てるために

自然樹形が美しく、大きくなり過ぎない樹種は、自然度が高い里山などで良好に育ちますが、都市部や住宅地では育ちにくく、時には枯れてしまう場合もあります。そのため、土壌改良をしっかりと行うようにしています。
樹木の根は意外にも酸素を多く必要としており、通気透水性が良好な土壌では樹木は美しく成長します。
 

◆ 目には見えにくい所へも配慮しています

以上のように、私たちは樹木で立体的に美しく・草花で多様な鮮やかさをデザインするとともに、目には見えにくいところへも気を配って設計しています。植物が美しく成長するように、剪定時には樹木へのダメージが小さくなるように、そして、10年後はより美しい緑になるように心がけています。
 
多様性のある雑木の庭

多様な樹種の植栽デザイン

 
土壌改良

通気透水性を改善する土壌改良

◆ 外国の樹種は?

外国から輸入された樹木では、私たちが観察した結果、生育に不安定さがある樹種があるようです。低木類は比較的問題が起こらないためによく提案しますが、高木になると問題が起こることがあり、もし導入が必要な際はよく調べてから提案するようにしています。
生育に不安定さがあった例では、
ニュージーランドで交雑育成された樹種であるレッドロビンは、街で生垣としてよく用いられていますが、同じ樹種で構成された生垣は、害虫の被害を受けやすく、また樹木同士で根がスペースを奪い合って、根の張りが弱くなってしまうことがあります。実際に、弊社の剪定方法でレッドロビン生垣を管理したところ、台風で1本の樹木が傾いたことがありました。
この他、レッドロビンは成長がとても早く、萌芽力が強いため、上面と側面を刈込剪定してもすぐに枝葉を大きく伸ばし、枝葉が通路を妨げたり、剪定管理の手間が大きくなります。
 
オーストラリアが原産地のギンヨウアカシアも成長が早く、枝が折れたり、強風で樹木が傾いたりしています。そして、この樹種は暑さには強いですが、-5℃以下の寒さには弱いようです。実際に、2017年12月から2018年2月に歴史的な寒波が襲来した際は、枯れてしまったという報告が数件ありました。
 
シリアやトルコ南部辺りが原産地のオリーブは、倒木の報告をよく聞きます。乾燥した土壌を好むため、日本の多雨を嫌うようです。もし植栽する場合は、土壌の排水性にとても気を配る必要があります。
 
この他にも様々な不安定さが見られる樹種がありますが、樹木を剪定する立場で考えると、外国の樹種の多くは成長が早く、萌芽力が強いことに悩まされています。このような性質があると、剪定の際に柔らかい枝ぶりを残すことができず、剪定した翌年は枝葉を無造作に伸ばして、せっかく整えた枝ぶりの面影がなくなってしまいます。再度剪定で枝ぶりを整えますが、剪定をする度に樹形や生育状態が悪くなり、剪定の手間も多くかかります。
おそらく、日本で育てることを考えたとき、このような性質がないと枯れる可能性が高いからかもしれません。

◆ 草花では?

草花では外国から輸入された種類でも、周りと協調するように安定して生育するものがあります(侵略的外来種のように、過剰に繁茂して他の草花の生育を脅かすものは選びません)。樹木と違って、草花は分布している範囲が広いため(例えば、自然に生える草花の中で、北海道から九州まで分布している種類があります)、原産地の気候と異なる場所でも適応しやすいのかもしれません。ただ、草花は日当たりや土壌の質に敏感で、これらの条件に適合しないとすぐに枯れてしまいます。
安定して生育する種類は原産地が外国でも積極的に取り入れ、緑地(庭園)の彩りが鮮やかになるように提案しています。また、パンジーやビオラなどのような自然に生えることなく毎年苗を植え替える必要がある草花ではなく、毎年自然に生えて循環していく宿根草などを用いて、草花でも四季の変化を感じ取れるデザインにしています。ローメンテナンスなナチュラリスティック・ガーデンなどは良い例です。
樹木では立体的な美しさ、癒し効果、温度湿度調整機能などの住み心地を良くする効果を、草花では美しくて多様な花を楽しめたらと考えています。
 
 
 

◆ 心安らぐ暮らしをデザイン 

植物が私たちの生活をサポートするように植栽をデザインすることは、安心できて生きがいのある暮らしにつながると考えています。

◆ 構造物

フェンスやデッキ、土留めに使用する資材は、なるべく自然素材を選んでつくっています。

自然素材は時が経つにしたがい、より深みや趣きがでてきます。
そして、定期的なメンテナンスはほぼ必要ないので、安心できます。
 
生活に必要な構造物はシンプルにデザインし、必要に応じて石組みなどの伝統的な技術をポイントで組み入れています。

小松石のアプローチ
エコアコールウッド
小松石 石垣
小松石 石垣

庭園デザインは「アトリエたね」と共同で行っています。
「アトリエたね」は、落ち着く空間でありながら、街ゆく方々も楽しめるセミオープンな庭づくりを目指しています。
施主のご意向を汲み取りつつ、敷地の特性や施主の暮らしを考えて、庭での暮らし方が膨らんでいくようにデザインしています。竣工後は、施主自身のアイデアが生まれて、庭との関わりが増えているようです。
私は、樹木を美しく育てていくための樹種選定や施工方法、管理方法でフォローしています。
全体的なゾーニングなどは、「アトリエたね」と意見を交わし合っています。
このように進めていき、住み心地が良くなるとともに、植物の美しさがより引き立つように提案しております。
 

アトリエたね 一般社団法人ジャパンガーデンデザイナーズ協会(JAG) 会員