スマホを捨て、「新しい豊かさ」への転換
鎌倉の山間で、自然とともに息づく一人の男性がいます。
アメリカ生まれ、父はイタリア人で母は日本人のハーフ。
彼は、かつてニューヨークで活躍するクラシック音楽の演奏者兼作曲家でした。
裕福な生活と名声を手にしていたにもかかわらず、今はまったく異なる人生を選択しています。

「本当の生き方」に辿り着く
生活スタイルは、多くの現代人が想像する以上にシンプルです。
スマートフォンは持たず、連絡手段はタブレットでの電話とインスタグラムのみ。
電力は太陽光発電でまかない、冬は薪ストーブで暖をとります。
驚くのは、真冬でも雨水を利用したシャワーを浴びるという徹底ぶり。
食生活でも、彼の哲学は一貫しています。
お酒を断ち、添加物を含む食品を拒否。
無農薬の野菜や天然酵母のパンを好んで食べています。
彼の身体から漂う心地よい香りは、生活の純粋さを物語っているかのようです。

エリートから自給自足へ ーその苦悩と転機
「最初はとても辛かった」と彼は振り返ります。
ニューヨークでの華やかな生活から一転、自給自足の生活は想像以上に厳しかったようです。
しかし、ある転機が訪れました。
「仲間ができて楽しくなった」
この言葉が象徴するように、地域コミュニティとの繋がりを通じて、かつてエリートとして感じていた以上の幸福を見出したのです。
テクノロジーに依存しない生活だからこそ深まる人間関係と、内面への洞察ーそれが新たな豊かさとなりました。

竹の鶏小屋計画
自給自足への挑戦は今も続いています。
完全な自給自足は簡単ではなく、肉や卵などのタンパク源はまだ購入に頼っていると言います。
「卵も自給自足するために竹で鶏小屋を作りたい」との想いから、竹を取りに相模原まで足を運びました。
大量に切り出した竹を鎌倉まで運ぼうとしましたが、車を持たないために一時中断。
知人の軽トラックでも量の多さに運搬は難航しています。
竹はまだ運べていないものの、彼の自給自足への情熱は周囲の人々を動かし続けています。
