植物の生育不良は概ね“土壌”が原因です
樹木の生育は、土壌の状態が大きく関係しています。
生育不良の原因は、土壌が硬すぎることが多いです。土壌が硬すぎると、土壌の通気性や透水性が不良となり、根の発達不良や根腐れを引き起こします。
土壌が硬すぎた場合の土壌改良のポイント
① 土壌を耕耘する
耕耘する深さは目的に応じて異なります。
・ 深さ100cm程度・・・高木をより大きく生長させたい場合
・ 深さ60cm程度・・・小高木の植栽や、高木を程々の大きさで育てたい場合
・ 深さ30cm程度・・・低木や下草のみ植栽する場合
耕耘する面積はできれば植栽地全域がよいですが、それでは多大なコストがかかるので、以前の施工では、植栽する植穴を根鉢直径の2倍の面積で耕耘する方法を用いました。
土壌の排水性が悪い場合は、植穴同士を連結するように、そして最終的な排水ポイントへつなげるように、土壌を耕耘することがよいと思います。
② 深さ20cm程度まで有機質に富む“表土”をつくる
良好な植栽地には、一般に地表から30cm程の土層が黒褐色を呈し、団粒構造が形成され、枝葉が分解された有機質に富み、各種土壌動物が棲んでいます。このような土層を表土といいます。樹木の根は、この表土から栄養分を吸収しています。
有機質は地表から下へ降りていくので、深さ20cm程度の土壌が十分な有機質に富み、適度に土壌が柔らかければ、樹木は健康に育ちます。
その他のポイントは以下のとおりです。
・ 表土はなるべく現地の土壌を改良してつくる
・ 現地の土壌が粘土質を多く含む場合は、粗目の山砂を混ぜて改良する
・ 石やガラを多く含む場合は、適度にそれらを取り除く(多少は問題ない)
・ 砂質土な場合は、牛フン堆肥などで有機質を含ませる
以上を行った後にバーク堆肥を1立方メートル当たり100~120kg程度表土へ混ぜ、初期の窒素不足を補うため、少量の化成肥料を与えます。
③ 深さ30cm以上は透水性が良好となる“下層土”をつくる
30cmよりも深い土層は土中の酸素濃度が低下するため、微生物の活動が鈍くなり有機質は分解されにくくなります。この土層をここでは下層土と仮定します。樹木の根は、地中深く張ることによって、支持根の役割を果たしています。そして、この下層土にある水分(地下水等)も吸収してします。
樹木の根が伸長できるほど、土壌が柔らかく、透水性が良好であれば、樹木は健康に育ちます。
その他のポイントは以下のとおりです。
・ 通気性がよくなるように、よく耕耘する
・ 現地の土壌が粘土質を多く含む場合は、粗目の山砂を混ぜて改良する
・ 石やガラを多く含む場合は、適度にそれらを取り除く(多少は問題ない)
・ 砂質土な場合は、赤土を混ぜることや、竪穴式土壌改良を数か所実施する
(砂質土は耕耘しても、数年後には排水性が悪くなることがあるため)
その他の原因
生育不良には、土壌の化学性不良(強酸性、強アルカリ性、塩分等有害物質など)も原因となりますが、これらが問題となるのは一部の場所だけに限られます。
また、土壌の養分不足を心配される方も多いですが、その土地に生える在来の植物は養分要求度が低いため、バーク堆肥や化成肥料を適量ほどこす程度で十分です。
野菜や果樹の収穫が目的でしたら、相応の施肥を施して下さい。オリーブやジューンベリーなどの外国の樹種についても相応な施肥が必要となることがあります。