ゴマダラカミキリ(幼虫の俗称:テッポウムシ)
食樹する樹種は非常に幅広く、エゴノキ、カエデ類、ミカン類、ヤナギ、クリ、クワ、イチジク、プラタナスなど多岐にわたります。果樹や街路樹として利用される樹木も食害するので都市部でも姿を見ることができ、よく知られたカミキリムシです。
幼虫・成虫ともに生木を食べます。


1.生態
産卵された卵は次年の5~6月頃に羽化して成虫となり、遅く生まれた卵は次々年に成虫となります。
羽化後は約10日で産卵を開始し、卵は7~10日でふ化します。産卵期間は6~10月頃までで最盛期は6~7月頃、産卵数は平均200卵と非常に多い。
卵は地際部の樹幹に産み付けられ、そこからは樹液や樹皮の変色が見られます。
2.被害
幼虫は樹皮の内側にある形成層から幹の芯部へ根株に向かって食害し、空洞ができます。食害した穴付近に木屑が出てくるのでよくわかるでしょう。空洞が大きくなると枝や幹が折れることがあるので留意することです。
成虫は新しい梢の軟らかい樹皮を食害します。これが枝枯れの原因となることがあります。
3.防除および対処
基本的に被害が多いのは老木や樹勢の弱った樹木です。生育環境に配慮して樹勢よく育てれば、それが予防となります。
カミキリムシの最盛期に忌避効果となる「酢農薬を2週間毎に幹や枝へ散布すること」や「草木灰を根元周りの土壌面へ散布すること」等を行うとよいでしょう。これらは樹木の活力剤となって樹勢もよくなります。
幼虫及び卵は見つけ次第駆除することが大切です。テッポウムシによって樹幹の空洞がひどくなった場合は、その幹を根元から伐採して萌芽更新を図る方法があります。この方法は萌芽力のある樹種に適しています。
① 幼虫の駆除方法
幼虫が食害した穴へ針金等を挿入すれば補殺できます。針金等での補殺が難しい場合は、園芸用キンチョールE等を穴の中へ噴霧して殺虫します。
穴から雨水が入るようであれば樹皮テープやツギロウ等で穴を塞ぐとよいでしょう。有機リン系殺虫剤が含まれた白色塗布剤(ガットサイドS等)を塗布すれば産卵防止にもなります。
② 卵の駆除
樹皮に10~20ミリの円い傷がつき樹液や樹皮の変色が見られると、そこは産卵部分の可能性が高いので、よく観察して卵を駆除して下さい。
③ 成虫の対策
補殺が一番効果的ですが難しいです。卵さえ産下されなければ被害は拡がらないので、忌避対策に重点を置くことがよいでしょう。成虫を忌避させるためには酢農薬や草木灰を散布する方法、根元周りへネットを張る方法があります。
カミキリムシ類の種類によってではありますが、「そのカミキリムシが好む樹種の伐枝や伐幹を別の場所に置いておけば、カミキリムシはそこへ産卵するようになり虫害は回避できる」という事例もあります。
④ 樹木を樹勢よく育てる
土壌の通気透水性をよくする工事を行い、根をしっかりと成長させます。根が健康に成長すれば、樹木の防御効果が高くなります。
詳しくは「植栽デザイン」のページを参考にしてください。
⑤ 違う種類の植木へ植え替える
カミキリムシの被害が大きいのは、植木がその場所の環境にあっていないからかもしれません。今の植木の種類にこだわりがなければ、違う樹種へ植え替えることもオススメです。
4.まとめ
○ 卵や幼虫は見つけ次第駆除すること
○ 成虫はまめに忌避剤を散布して寄せ付けない
○ 樹木の生育環境に配慮して、樹勢よく育てる
○ 被害の大きい株は伐採し、萌芽更新させる
〇 違う樹種へ植え替える
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