剪定管理をしていると、害虫がつきやすい植木、害虫がつきにくい植木があることに気が付きます。
例えば、害虫がつきやすい植木では、サクラ、サザンカ、ジューンベリー、トキワガマズミ(ビバーナム・ティヌス)などがあります。
トキワガマズミなどの海外の植物
ジューンベリーやトキワガマズミはもともと海外で育っていたものを輸入して日本で育てています。
もともとの自生地では、そこで生息する害虫に対して防御する能力が備わっています。しかし、別の地域で育てると、そこで生息する害虫に対しては防御の方法が異なるために能力が備わっていないことがあります。ジューンベリーやトキワガマズミは、日本の害虫を寄せ付けない能力が低いのかもしれません。
ただ、数百年、数十年あるいは数年という短い期間で、植物は日本の害虫に適応して防御能力を進化させるため、海外の植物は全て日本で害虫がつきやすいというわけではありません。
もし植えたい植物の原産地が海外でしたら、販売店へ害虫のつきやすさを確認してみてください。特に新しく品種改良された植物や手に入りづらい珍しい植物は育て方が難しいことがあるので、まめに手を入れることをオススメします。
サクラなどの花つきの良い植物
サクラはとてもきれいな花をたくさん咲かせます。このように花を多く咲かせる植木は害虫への防御能力が弱くなるようです。
花を咲かせるためにはエネルギーを多く費やします。その分防御へ費やすエネルギーが少なくなってしまうからです。エネルギーを補うために、肥料を与えて花付きを良くしますが、窒素が多く含まれている肥料は与え過ぎると逆に害虫がつきやすくなります。
花を多く咲かせることは植物を植える楽しみの一つです。酢農薬などを利用して害虫を寄せ付けない方法もよろしいでしょう。
サザンカなどの地域環境が違う植物
サザンカにはチャドクガという触ると大変痒みがでる害虫がつきます。この害虫はツバキへもつきますが、経験上サザンカの方が良く発生すると思っています。
ツバキは本州・四国・九州に自生する代表的な樹種です。関東の平野部では生育に適した地域なため、ツバキにとって条件は最適です。
一方でサザンカは四国や九州などの暖かい地域を好み、寒さには弱いようです。そのため、関東の寒さでは生育条件が最適ではなく、害虫への防御が弱くなるのかもしれません。
害虫の発生を抑えるために
生垣や街路樹などでは同一の樹種が連なっています。
しかし、多様な樹種を混植すれば、害虫をつきにくくさせることができるようです。
その理由として、
〇 樹種が多様だと、害虫は食害しようとする樹種を見つけにくくなる
〇 植物同士には意思伝達作用があり、害虫の被害にあうと周りの植物は抵抗性を高める
〇 害虫にとって毒となる植物が近くにある
〇 多様な植物が多様な昆虫(動物)を引き寄せ、益虫が害虫を駆除する関係が得られる
コンパニオンプランツなどは良い例ですね。
基本的に混植することは良い結果になりますが、例外もあります。
庭園にリンゴとサクラの樹が隣り合っていました。リンゴの樹は害虫が発生しやすいと有名です。リンゴの樹には毎年害虫が発生するのですが、その害虫は移動してサクラの樹も食害していました。混植する際は植物の組み合わせが大切です。