植木を小さく保つために
植木の手入れ方法はご存じの方が多いと思います。
代表的なものは以下の3つでしょうか。
〇 刈込剪定
〇 ぶつ切り
〇 透かし剪定
これらについて説明しますね。そして、最後に弊社の剪定方法をご紹介します。
刈込剪定
刈込ハサミで樹縁を丸くしたり、直線的に切っていきます。植木の手入れでは、刈込剪定を思い浮かべる方が多いでしょう。
この方法はとても簡単で、ご自身で手入れをしている方もいると思います。業者へ頼みたい場合は安価なシルバー人材を選んでもいいかもしれません。ただ、シルバー人材では「対応可能な木の高さが決まっている」「剪定ゴミの回収は行わない」などがあるので、ご依頼する際は注意してください。
刈り込み剪定の短所
- 切ってすぐはキレイだが、数カ月後には新芽が伸びてキレイではなくなる
- 樹形が単一になり、植木の癒し効果や温度湿度調整機能などは小さくなる
- 葉が枝先に集中して、幹付近はなくなる。幹付近の葉はエネルギーを蓄積する重要な器官である(Gilman 2011)
数年に一度は混み合った枝葉を透かす「透かし剪定」を行うことがいいでしょう。
ぶつ切り
最も簡単な方法です。
この方法は街路樹などでよく見られますね。大きくなり過ぎた庭木木を小さく戻したいときに行います。
小さい庭木をさらに小さくしたい程度ならご自身でできますし、シルバー人材でも可能です。
大きな庭木をぶつ切りしたい場合は、植木屋さんへ頼むといいでしょう。
ぶつ切りの短所
〇 太い枝や幹の一部が枯れたり、根が腐朽して倒木することがある
〇 樹木全体が枯れることがある
〇 剪定後は幹や太い枝から芽が萌芽し、見栄えはとても悪くなる
「ぶつ切りするなら1回だけ」にして、剪定は毎年行うようにしましょう。
透かし剪定
枝葉を透かして植木の内側へ風や光が入るようにします。植木の枝ぶりが見えるようになるので、美しい樹形を眺められます。剪定後の樹形は、葉を均一に散らばせ、樹縁を丸く整えることが一般的です。
剪定するには経験が必要なため、「植木屋さん」へ頼みましょう。
透かし剪定の短所
〇 経験が必要なうえ作業時間が多くかかるため、比較的高価
〇 葉を減らし過ぎになりがちで、病害虫への抵抗力が弱まる
〇 剪定後は美しいが、数カ月後には枝が勢いよく伸びて樹形が乱れやすい
丸く整形することにこだわらないようにしましょう。
一般的な剪定方法では、植木が弱ってしまう結果に
サイズを小さくする上に葉を切り取り過ぎる、こういった剪定は植木を弱らせます。
植木は弱るとシグナルを出します。胴ぶき、立枝、ひこばえなど。
これらのシグナルは不要枝と呼ばれて、一般的には切り取られてしまい、余計に弱ってしまう結果に。植木が弱ると言っても枯れることはほとんどないので、気にされないのですが。ただ、弱っている植木は病害虫に侵されやすくなるでしょう。そして、樹姿は美しくありません。
植木の状態を診て、それに応えていくことが手入れであり、剪定なのだと思っています。
科学的に剪定する
弊社では刈込剪定やぶつ切りはご要望があれば行いますが、基本的には行いません。透かし剪定を基本にしていますが、上記の一般的な透かし剪定では葉を減らし過ぎになり、作業時間が多くかかります。
弊社では、素直に成長できる状況なら「透きつづく剪定(構造的剪定)」、サイズを小さくする必要があれば「科学的な抑制剪定」を行っています。これらは、私の研究結果と海外の剪定技術を合わせて、アレンジしています。
キンモクセイ
一般的に刈込剪定されますが、弊社では透かし剪定をしています。
キンモクセイは丈夫ですが、ゆっくりと成長するので透かし剪定の方が美しくなるのです。
ただし、キンモクセイは枝が直上しやすく、幹は2本以上になりがちです。これでは上部に葉が茂り過ぎて、鬱蒼とした雰囲気になるかもしれません。幹は1本にして透かし剪定をしていくと、軽やかな樹形になっていきます。
ソヨゴ
家主様ご自身で剪定されていたソヨゴを剪定しました。
ソヨゴは成長が遅い樹種です。そして、切り過ぎると上部に葉を多く茂らせます。
剪定では下の葉はなるべく残して、枝を切り過ぎないように努めています。
シマトネリコ
家主様ご自身で剪定されていたシマトネリコです。
シマトネリコは成長が旺盛で、幹は太くなりがちです。
剪定では株立ち樹形なので、太い幹を切り取ってスッキリとした枝ぶりにしています。